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こんにちは。ANGEL VIBESです。前回までの過程で、全てのグリフをGlyphs Miniに配置することができましたね。そこまでできたら、次はスペーシングとカーニングです。そして、フォントファイルを書き出したら完成となります! さあ、あとひとふんばりです。

 

[9]スペーシング

Glyphs Miniではスペーシングは1文字ずつ行います。グリフを並べて表示し、Adobeのドローソフト等で字詰めを行う感覚でスペーシングができます。
少し復習します。スペーシングとは、一つのグリフが占有する字幅の調整のことです。先ほど、グリフ一つ一つの字幅の設定をしましたね。これにより、グリフの四角いガイドラインの幅を調整できたと思います。実はこれが、一つのグリフが占有する字幅となります。
Glyphs Miniでは、こうした字幅は、文字のアウトラインの端からガイドラインの端までの距離の数値を入力することによっても、調整することができます。これは、字幅の設定を行ったのと同じ画面下のグレーのボックス、「左」「右」の数値部分に数値を入力することで行います。なお、「左」は文字のアウトライン左端からガイドラインの左端までの距離、「右」は文字のアウトライン右端からガイドラインの右端までの距離を示しています。

字幅の設定はグレーのボックス「左」「右」で調整することもできます。

Gliphs Mini画面

 

画面上部のツールボックスから「T」(テキストツール)を選びます。文字を打ってみましょう。すると画面上に文字が表示されます。この文字は並べてスペーシングを行うことができます。順番としては、まず平均的な字形を選び、それから○に近い字形を選び、そして「I」を選び、バランスを見ながらそれぞれのスペーシングを行っていきます。
見本のフォントDaisyの例では、文字の平均的なフォルムは四角形なので、四角いフォルムの「H」、「N」、「Z」から始めました。そして「O」、「I」と続け、バランスを見ながら調整していきました。

Glyphs Mini画面

 

Glyphs Miniではグリフ名を利用してスペーシングを行う便利な方法があります。基準にしたグリフ名を利用して他のグリフをスペーシングすることができます。例えば、「H」を基準にした場合、同一のスペーシングをしたいグリフを表示し「左」に「H」、「右」に「H」と入力すれば、「H」で設定した時と同一の数値が入力できます。
なお、その基準となるグリフの数値を変更したときは、ツールバー「グリフ」→「メトリクス情報を更新」を選びます。これを実行しないと、他のグリフにその変更した数値が反映されません。

「N」のスペーシングを「H」と同一にしました。

Glyphs Mini画面

こんな感じでグリフを表示し、調整していきます。

Glyphs Mini画面

全体を調整できたら、スペーシングは完成です。

 

[10]カーニング

カーニングもまた、スペーシングを行ったのと同じ、画面下のグレーのボックスで調整して行います。スペーシングの数値を入力する下の行です。
少し復習します。カーニングとはグリフとグリフの間隔の調整のことです。ある特定のグリフとグリフを並べた時の字詰めが美しくない場合に、グリフとグリフの間隔を詰めるなどの調整をします。それがカーニングです。
カーニングを設定するのは、気になるグリフだけでOKです。Daisyの例では、「OとV」、「OとW」、「OとY」、「Oと7」、「VとO」、「VとY」、「YとO」、「YとV」それぞれのペアについて行いました。
カーニングもスペーシングのように、基準にしたグリフ名を利用して他のグリフをカーニングすることができます。
実際に、「YとV」のペアと「YとW」のペアを同一のカーニングにした例です。
まず、「V」のカーニング「左K」には「-8」と入力し、「左G」の欄に「V」と入力しました。「左K」は字詰めをする数値で、「左G」はカーニンググループ名です。そして、同一のカーニングにしたい「W」の「左G」に「V」と入力することにより、「YとV」と「YとW」のカーニングを同一にすることができました。
右のカーニングも必要な箇所は、この方法で、「右K」に字詰めの数値、「右G」にグループ名を入力し、それぞれのグリフの間隔を調整します。行ったカーニングは、メニューバー「ウィンドウ」→「カーニング」で内容を表示させることも可能です。
なお、カーニングにおいてもスペーシングと同様に、基準となるグリフの数値を変更したときは、ツールバー「グリフ」→「メトリクス情報を更新」を選びます。これを実行しないと、他のグリフにその変更した数値が反映されません。

「YとV」のペアと「YとW」のペアを同一のカーニングにした例

Glyphs画面
Glyphs画面

 

[11]出力をしてフォントファイルを書き出し完成!!

スペーシングとカーニングはこれでOKです。それができたら、メニューバーから「ファイル」→「出力」を選び、ファイルを書き出します。これで、完成です。やりましたね!

 

まとめ

・スペーシングとカーニングは画面下のグレーのボックスで行う
・カーニングは気になるグリフのペアだけ行えば良い
・フォントファイルを書き出して完成

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回はGlyphs Miniを立ち上げ、「フォント情報」を設定するところまでできましたね。今日は、「元AIデータ」を、Glyphs Miniに読み込ませる作業を中心に解説します。

 

[6]続いて「出力」の設定

Glyphs Miniを立ち上げ、「フォント情報」を設定したら、次に「出力」を設定します。メニューバーから「ファイル」→「出力」を選び「重なったパスを合体」がチェックされているかを確認します。デフォルトではチェックになっていますが、念のため確認しておきましょう。
これがチェックされていることにより、フォントファイルを書き出す際に、開いたパス・重なったパスやポイントを合体することができます。Fontographerの使い方でも説明しましたが、パス上の余分なポイントはなくし、開いているパスは繋ぎます。フォントファイルを作る時にはグリフのアウトラインは整理しなければなりませんでしたね。

Glyphs Mini画面

グリフ一つ一つの画面を開いて、「重なったパスを合体」を実行することもできます。重なったパスやポイントは、オレンジ色の●で示されます。メニューバーから「フィルター」→「重なったパスを合体」を選んでいただければ、合体が実行され、オレンジ色の●は消えます。
ただこのように一つ一つのグリフの画面でやらなくても、「出力」で「重なったパスを合体」をチェックしてさえいれば、フォントファイルを書き出す際に、一括して「重なったパスを合体」が実行されます。

Glyphs Mini画面

 

[7]グリフ一つ一つの画面に「元AIデータ」をペースト

各設定ができたら、最初の画面に戻ります。「A」、「B」、「C」、「D」・・・と続くマス目がありますね。このマス目を一つずつダブルクリックしグリフ画面を開きます。画面下のグレーのボックスで、「字幅」に「1000」と入力します。そうすると、グリフ画面の四角いガイドラインの幅が1,000ユニットになります。
この四角いガイドラインですが、高さはemスクエアの高さを示しています。すでに述べていますが、emスクエアの高さはGlyphs Miniではユニット数(UPM)で表されます。そして、Glyphs Miniの仕様ではemスクエアの高さ=ユニット数(UPM)は1,000となっています。なので字幅を「1000」と入力すると、1,000×1,000ユニットの正方形のガイドラインができますね。

次に、「元AIデータ」をGlyphs Miniに読み込ませる作業です。
「元AIデータ」をAdobeIllustratorで開き、位置合わせの印とグリフとを一緒にコピーし、
Glyphs Miniのグリフ画面にペーストします。そして、その1,000×1,000ユニットの正方形のガイドラインに位置を合わせます。
「元AIデータ」は1,000×1,000ポイント=1,000×1,000ユニットのドキュメントで作りましたので、位置合わせが正しく行われれば、グリフの画像はアセンダーライン・ディセンダーライン・ベースラインの正しい位置に収まります。
なお、ガイドラインに位置合わせ用の印の四角形がピッタリ重なれば、オレンジの◆が示されます。うまく重ならなければ、グリットが見えるまで拡大して、画像を重ねるようにしましょう。

マス目をダブルクリックしてグリフ画面を開きます

Glyphs Mini画面

下のグレーのボックスで「字幅」を設定します。

Glyphs Mini画面

ペーストした画像をガイドラインにピッタリ重ねるとオレンジの◆が示されます。
難しければ、グリッドが見えるまで拡大して重ねましょう。

Glyphs Mini画面

位置合わせはできましたか? これができたら位置合わせ用の四角形は不要になります。四角形のパスをダブルクリックして選択し、deleteキーで消去します。

 

[8]数字と役物を「グリフ情報」で追加

Gliphs Miniに「A」から「Z」までAIデータをペーストし、位置合わせをし終えましたか? それが終わったら、次に数字や約物の作業です。タブ「フォント」から「数字」「約物」を選び、マス目の画面を表示し、「A」から「Z」で行ったのと同じようにAIデータをコピー・ペーストしていきます。
でも、アレっ? 数字がない、約物がない! ってなりましたね? そうなんです。作成できるグリフは、デフォルトでは「A」から「Z」の大文字・小文字しか設定されていません。「フォント」タブからカテゴリーの「数字」を選び表示してみるとカラになっていて、グレー一色の画面になっています。数字と役物も作りたい場合は、メニューバーから「ウィンドウ」→「グリフ情報」を表示し、作りたいグリフを選択し右下の「フォントに追加」ボタンを押していきます。数字なら、「0」、「1」、「2」・・・と加えていきましょう。すると、加えたグリフのマス目ができあがります。
もう一度カテゴリー「数字」を開いて確認してみましょう。「0」から「9」のマス目ができあがってますね。マス目ができたら、また「A」から「Z」まで作業したのと同じように、AIデータをコピー・ペーストし、位置合わせをします。

「グリフ情報」からフォントを加えていきます。

Glyphs Mini画面

これが

Glyphs Mini画面

こうじゃ!

Glyphs Mini画面

全ての作りたいグリフのデータを、Gliphs Miniに読み込ませましたか? この作業ができたら、次はスペーシングとカーニングです。

 

まとめ

・「ファイル」→「出力」を選び「重なったパスを合体」をチェックすべし
・グリフのAIデータは位置合わせの印と一緒にGliphs Miniにコピー・ペーストする
・作成可能なグリフはデフォルトでは「A」〜「Z」の大文字・小文字のみに設定されている
・「A」〜「Z」以外の作りたいグリフは「グリフ情報」で追加

ではまた!

こんにちは。ANGEL VIBESです。前回は、「グリフ」の説明をしているうちに終わってしまいました。Glyphs Miniの使い方に話を戻しましょう。フォントのデザインを決めて下描き〜AdobeIllustratorでトレース、ここまではFontographerを使う時と同じでしたね。忘れた部分があったら、過去記事「フォントの作り方(3)」フォントの作り方(4)」を読んでみてくださいね。
さて、あなたの手元にはグリフをトレースしたAIデータ「トレース用紙.ai」が用意できていますか? 今日はここからのお話です。

 

[4]トレースしたAIデータを「元AI用紙」に1文字ずつ保存します

FontographerにAIデータを読み込ませるためには、トレースしたAIデータを「元AI用紙.ai」にコピー・ペーストしグリフ1文字ずつを保存した、「元AIデータ」を用意しなければなりませんでしたね。「元AI用紙.ai」には印がついており、この印によって、Fontographer上で全てのグリフのemスクエアの高さを統一することができました。

AI形式のドキュメント「元AI用紙」から作成した「元AIデータ」


Glyphs MiniでもFontographerの時と同様に、Giyphs Mini上にペーストされるグリフのemスクエアの高さは統一されなければなりません。その他Glyphs Miniでは、ペーストされるグリフは画面の正しい場所に位置合わせをされなければなりません。なので、Glyphs Miniの仕様に合わせた「元AI用紙.ai」が必要です。
なお、Glyphs Miniではemスクエアの高さには「ユニット(UPM)」という単位が割当てられています。Glyphs Miniの仕様では、1つのグリフのemスクエアの高さ=1,000ユニット(UPM)となっています。「ユニット(UPM)」という単位については、今はこのことだけ覚えておいていただければ良いでしょう。

Glyphs Miniの画面。グリフのマスの高さは1,000ユニット(UPM)です。

Glyphs Mini画面

では、AI形式のドキュメント「元AI用紙.ai」を使い、「元AIデータ」を作ります。
まず、「元AI用紙」の作り方です。1,000ユニット(UPM)はAdobeIllustrator上では1,000ポイントと同一の大きさです。なのでまず、1,000ポイントの高さのドキュメントを作ります。とりあえず1,000×1,000ポイントの正方形にしておきましょうか。そしてそのドキュメントに合わせ、1,000×1,000ポイントの正方形をラインで描いておきます。これは位置合わせ用の印なので、Glyphs Mini上で位置合わせをした後に消去します。これで「元AI用紙.ai」ができました。
次に、「トレース用紙.ai」上でトレースされたグリフ一つ一つを四角形のラインで囲み、印をつけます。emスクエアの高さが四角形の高さとなるように、一つ一つの四角形の位置と大きさを統一してください。
あとは、そのトレースしたグリフを四角形の印と一緒に「元AI用紙.ai」にコピー・ペーストし、高さが1,000ポイントになるよう拡大します。そして、1文字ずつAI形式で保存します。「元AI」などの名前のフォルダを作り、この中にそれぞれのグリフを「A.ai」「B.ai」「C.ai」・・・と保存していきましょう。

 

「トレース用紙.ai」のグリフ一つ一つに印として四角形の囲みをつけます。

 

「元AI用紙.ai」に、グリフを四角形の印と一緒にコピー・ペースト。
ペーストした画像は拡大し、4隅の位置を合わせます。

 

[5]Glyphs Miniを立ち上げたらまずは「フォント情報」の設定

さて、いよいよGlyphs Miniを使っての作業です。Glyphs Miniを立ち上げたら、メニューバーから「ファイル」→「新規」を選び新規のドキュメントを開きます。そして「ファイル」→「フォント情報」を選び各項目の設定をします。Fontographerを使用する場合も同じでしたね。新規のドキュメントを開いたら、まずは「フォント情報」の設定です。

「ファミリー名」の設定
フォントファミリーの名前を入力します。自由に名付けてください。次の項目「スタイル名」はデフォルトで「Regular」となっています。フォントファミリーを増やさないなら、「スタイル名」はデフォルトの「Regular」のままでOKです。

クレジット関連情報の設定
クレジット関連では「デザイナー」「デザイナーのURL」「製造者」「製造者のURL」「著作権」があります。デフォルトでは空欄になっていますので、各項目に入力しましょう。

「バージョン」の設定
デフォルトでは「1.000」となっています。そのままで大丈夫です。フォントをリ・デザインするなどした時はバージョンアップすると良いでしょう。

メトリクス関連情報の設定
「ユニット数(UPM)」「アセンダー」「キャップハイト」「xハイト」「ディセンダー」「イタリック角度」の設定です。
「ユニット数(UPM)」はデフォルトのまま「1000」でOKです。既に説明しましたが、Glyphs Miniでは一つのグリフのユニット数は仕様で1,000となっているので、よほど理由でもない限り、1,000のままで大丈夫です。
「アセンダー」と「ディセンダー」ですが、「元AIデータ」を見れば簡単ですね。ドキュメントサイズを1,000ユニット=1,000ポイントに設定してあるので、そのまま「アセンダー」と「ディセンダー」の高さを測って入力しましょう。AIドキュメント上で端数が出ていたら、切り捨てるなどして調整しましょう。ただし、「アセンダー」と「ディセンダー」の高さの合計は1,000になるようにします。

過去記事「フォントの作り方(5)」を復習しますね。

emスクエア(の高さ)=アセンダー+ディセンダー

これだけは覚えておきましょう。

「キャップハイト」「xハイト」「イタリック角度」はデフォルトのままで差し支えありません。
ここまで入力できたら「アラインメントゾーン」の矢印ボタン(赤いマイナスボタンの右隣の黒いボタン)を押します。こうすることで、位置とサイズが自動計算されます。

Daisyはこんな感じで設定しました。

Glyphs画面

これで「フォント情報」は設定できました。続きはまた次回。

 

まとめ

・Glyphs Miniの仕様では、1つのemスクエアの高さ=1,000ユニット(UPM)
・AdobeIllustrator上では、1,000ユニット(UPM)=1,000ポイント
・emスクエア(の高さ)=アセンダー+ディセンダー
・Glyphs Miniを立ち上げたら「フォント情報」で必要事項を入力する

ではまた!

こんにちは。ANGELVIBESです。今日はGlyphs Miniを使ったオリジナルフォントの作り方のお話です。前回のおさらいをちょっとしますね。
Glyphs Miniには日本語版があり、しかも価格が5,000円程度。なのに基本的な機能はそろっている。なので、フォントデザインビギナーさんにはGlyphs Miniが一推し! というお話をいたしました。
というわけで、今日からGlyphs Miniの使い方編をスタートしたいと思います。見本のフォントはFontographerの解説の時に使用したDaisyです。同じフォントにしておいた方が、混乱はしないかと思いますので。

今回もDaisyを見本にします

画像出典:「ANGEL VIBES」サイト(http://www.auracommunications.com/angel/frfnt/daisy.html)

 

フォント作成の手順はFontographerと基本的に一緒でOK

Glyphs Miniを使ったフォントデザインの基本的な手順は、Fontographerと同様です。ただ、やはりGlyphs MiniとFontographerは別のソフトなので、ソフトの細かい部分での使用方法や設定方法は異なります。でも、使ってみると共通項があるということは発見できるかと思います。
Glyphs Miniを使う場合も、Fontographerを使う場合とおおまかな手順は変わりはありません。したがって、Glyphs Miniの場合も、次のような手順となります。

1. 図案を決めます。
紙に手書きでラフデザインを描きます。デザインがまとまったら、下描き用紙に書き写します。
復習します。「下描き用紙」って何でしたっけ? 専用の方眼紙でしたね。ANGEL VIBESオリジナルの用紙を使っていただいてもOKです。→無料ダウンロードはこちら☆

2. 下描きした図案をスキャンしトレースします。
下描きした図案をスキャナーでスキャンします。これを下絵にしてAdobeIllustratorでトレースします。トレースした画像はAIファイルで保存します。文字のベースはこれで完成です。

3. AIファイルをGlyphs Miniに読み込ませフォントデータ化します。
AdobeIllustratorで作成した文字のベースとなるAIファイルを、Glyphs Miniに読み込ませます。AdobeIllustrator上で画像をコピーし、Glyphs Miniの所定のマス目に1画像ずつペーストしていくイメージです。ペーストができたらカーニング設定等の行程を経て、フォントデータを書き出し完成します。

このように、手順はFontographerとおよそ変わりません。特に手順「2」の途中までは同じです。Glyphs Miniを使用する場合でも、ラフデザインを下描き用紙に書き写し、この下描き用紙をスキャンしてAdobeIllustratorでトレースするところまでは同じです(「フォントの作り方(3)」「フォントの作り方(4)」)。

過去の記事「フォントの作り方(3)〜(4)」でいうと、
[1]下描き用紙に図案を描く
[2]スキャナーで下絵をスキャンし一文字ずつ切り分ける
[3]AI形式のトレース用紙を使いAdobeIllustratorで1文字ずつトレースします

というところまでは同じなので、説明は省きます(ちょっと忘れちゃったなあということでしたら、戻って復習してみましょう)。この後から、少しずつ異なる手順があります。では次の手順を[4]として、そこから説明をします。

 

下描き用紙に図案を描いて、スキャナーでスキャンします。

 

スキャンしたデータを切り分け、
AIドキュメントの「トレース用紙」に1文字ずつ配置し下絵にします。

 

下絵を元にトレース。ここまでは同じ。

 

「グリフ」とは?

いきなりで恐縮しますが、[4]の説明に入る前に「グリフ」とは何か? というお話です。ちらりちらりと「グリフ」という単語が出てきていますが、重要な用語の一つなので念のため説明しておきますね。
「Weblio 辞書 」→「.NET Framework用語集」の「グリフ」の項目を見てみましょうか。
「グリフ」とは「特定のフォントにおける文字の物理表現。」と記されています。「グリフ」という単語は使用する場によって意味が多少異なり、定義が定まっていない印象も受けますが、コンピュータの用語、特にフォントと対峙する概念として考えた時、次のような意味となります。「グリフ」とは個々の字形。付け加えると「フォント」はその集合、という意味になります。Gliphs Miniでいえば、画面にA、B、C・・・と続く一つ一つの文字の形ですね。

画面にグリフが並んでいますね

Glyphs Mini画面

いきなり「グリフ」の説明が入ってしまいましたが、次回は、トレース用紙でトレースしたデータを使った次の過程についての解説です。

 

まとめ

・Glyphs Miniを使ったフォント作成の基本的な手順は、Fontographerと共通点が多い
・下絵をトレースするところまでの手順はFontographerの時と同様
・「グリフ」とは、特定のフォントにおける個々の文字の字形

ではまた!

こんにちは。確定申告を終えてホッとしているANGEL VIBESです。ところでFontogrpherは入手できましたか? すでに述べていますが、FontLab社の公式サイトで購入はできますが、日本語版の販売は終了しています(日本では恒陽社がFontLab社の代理店となり、日本語版を販売していました)。・・・う〜んやはり、日本語版が欲しい方もいらっしゃいますよね。
なんてことを考えると、オリジナルフォントデザインのビギナーさんにフォント作成ソフトをオススメするというなら、確かにGlyphsは一推しなんですよ。日本語版がありますし、それでいて多機能で柔軟性があり、優れたソフトだと思います。そしてGlyphs Miniなら5,000円程度でフォント作成ソフトとしては低価格。Glyphsよりも機能が少ないながらもこちらも超オススメ!
というわけで、フォント作成ソフトを新しく導入したい方で特にフォントデザインビギナーの方のために、今日はGlyphsについてお話しようと思います。

 

Glyphsの歴史

Glyphsといったら、発売された当初から評判が良かったという印象です。日本では、既に2012年ぐらいにはネットでちょっとした騒ぎになっていました。フォントクリエイター達はWebを通し、口々に使いやすいと伝えていました。
そうしたメディアによれば、Glyphsの日本語版は2013年頃にリリースされたようです。ヤマダコウスケさんの「フォントブログ」にも解説があります。

さて、Glyphsっていつからあったの? ということについてです。Glyphsの前身となるソフトがあったのかどうかは調べかねてますが、Glyphs公式ハンドブックでの著作権表示が2011年からになっているので、「Glyphs」としての歴史は、2011年から始まっていると考えて差し支えないでしょう。とすると、Glyphsはかなり早い段階で、日本語版がリリースされたフォント作成ソフトだと言えるのではないでしょうか。

 

Glyphsの使いごこちは?

Glyphsの使いごこちは、一言で言うと、柔軟。「そこ! そこが気になってたの!」という部分の細かな設定が、かなり簡単に出来てしまう。例としてはグリフ一つ一つの幅設定。グリフのマスの幅のみならず、文字の左右にどれぐらいのスペースがあるかも数字で示され、画面で確認できます。私にはこれがインパクト大でした。それから、画面上のドローツールが感覚的で、デザイナーが使うにはラクだと思いました。慣れれば、AdobeIllustratorを使わずにダイレクトにGlyphs上で下絵をトレースする手順の方が、やりやすいかもしれません。とは言え、AdobeIllustratorのAIデータをコピー・ペーストする方法も可能なので、これも好きずきで選べば良いでしょう。
それから、リガチャーがずいぶん綿密に設定できるというのも良いです。デザインによってはリガチャーが細かに設定できればいいんだけどなあという場合もあります。リガチャーが綿密に設定できることによって、場合によってはデザインの可能性も広がるのではないかと思います。

こんな感じでドローができます

Glyphs画面

グリフのマス一つ一つの幅は数字を入力することで設定できます

Glyphs画面

 

ビギナーにも親切

GlyphsにはTrial版(体験版)があって30日間無料で使用でき、Glyphs公式サイトから入手できます。しかも、日本語版があります。フォント作成ソフト自体が、一体どんな使い勝手で見当もつかないというフォントデザインビギナーの方なら、助かるのではないでしょうか? そして、Glyphs最新版(バージョン2.3)のハンドブックは日本語版も用意されています。これなら、充分検討してから購入するかどうか決められますね。
それから、ビギナーにとってもう一つ嬉しいのは、公式サイトのトレーニングビデオです。全部見れば、Glyphsの使い方は、ひととおり知ることができます。

Trial版(体験版)は公式サイトからダウンロードできます

画像出典:Glyphs公式サイト

トレーニングビデオもありがたいです

画像出典:Glyphs公式サイト

 

まずGlyphs Miniを試すという手もある

Glyphsについて少しばかりご案内してきましたが、いかがでしたか? GliphsとGliphs Miniのお話を一緒に進めてきてしまいましたが、オリジナルフォントデザインをこれから始めようという方が新しくフォント作成ソフトを導入したいということなら、私はMiniの方をオススメします。
リガチャーなどの細かな設定ができることから察するに、Gliphs自体がプロからセミプロ向けのソフトと考えられます。細かな設定ができることはプロも嬉しいですが、ビギナーさんであればその細かさに少々混乱するかもしれません。それよりは、基本的な機能だけは搭載しているGliphs Miniでひととおり慣れていただいて、それからGliphsを導入するということでも遅くないと思います。何よりGliphs Miniの価格ですよ。5,000円程度で、あれだけの機能。損にはならないと思います。また、使用していただいて、もしMiniの方で充分だということなら、あえてGliphsは導入せずMiniを使い続けるという選択もアリだと思います。

さて次回から、Gliphs Miniを使ったオリジナルフォントの作り方についてお話したいと思います。

 

まとめ

・Glyphsは、正直言うと推しです。
・Glyphsには日本語版がある。
・Gliphs Miniの価格は5,000円で低価格。それでいて基本的な機能は備えている。
・ビギナーさんにはGliphs Miniがオススメ。

ではまた!