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こんにちは。ANGEL VIBESです。
突然ですが、Glyphs Miniの解説書、「Glyphs Mini & イラレでフォントデザイン〜アルファベット大文字編〜」を発売しました!

筆者のこのブログ、「FONT×DESIGN 基本の作り方」のGlyphs Miniについての記事をまとめた電子書籍になります。販売はAmazonとBOOTHにて。お試し版の無料配布も行なっています。下記からLet'sアクセス!

Amazon(Kindle版)/有料版
BOOTH(PDF版)/有料版
BOOTH(PDF版)/無料お試し版(1〜15ページ)

本書の内容です。

[概要]
・ページ数:全48ページ(お試し版以外の有料版)
・内容:Glyphs Miniの使い方。フォントの作り方。
・カラー:基本フルカラー(スミ1Cのページも数ページあり)
・価格:880円(税込)

今回、書籍化ということで、大幅にリニューアル・加筆修正しました。とにかくわかりやすくなればと心がけ、「フォント」とは何か? という基本的な部分も解説し、Glyphs Miniの理解に役立てようと考えました。
本書は、Glyphs Miniオンリーでは、おそらく日本初の解説書です。過去にデザイン雑誌等でGlyphs Miniの使い方についての掲載はありましたが、Glyphs Mini単体の解説本はまだなかったかと思います。
本書のねらいは、読者の方にフォントデザインの「基本の作り方」を知っていただくことです。本書をおススメする対象の方は、フォントデザイン初心者、それから、文字のデザインはできるけれどGlyphs Miniの使い方がわからないという方です。
今回は、極力基本的な解説に留めたいので、アルファベット大文字のデザインを学ぶ「アルファベット大文字編」としました。
本書で解説するフォントデザインは、Adobe Illustratorでベクター画像を作りGlyphs Miniに取り込むという流れで、このブログで解説してきた方法です。このブログの読者のみなさんにおかれても、フォントデザインの理解がより得られるかと思います。あらためて、一冊いかがでしょうか?

[Contents]

INTRODACTION
この本について

Chapter 1 フォントの基礎知識
 1.「フォント」とは何なのでしょう?
 2.「グリフ」にフォルムを与え「フォント」と成す
 3.アルファベット書体の基礎構成

Chapter 2 Glyphs Miniとは
 1.フォントデザインの方法は複数あるけれど…
 2.フォント編集アプリ「Glyphs Mini」ってどんなアプリ?
 3.Glyphs Miniの使いごこちは?

Chapter 3 フォントデザインの手順
 1.フォントデザインのおおまかな工程
 2.それぞれのSTEPについてのまとめ

Chapter 4 実際に作ってみる・前編
 1.ラフスケッチ▶︎フォントの図案決め
 2.ラフスケッチをトレース・清書▶︎下絵作成
 3.下絵をスキャン▶︎「下絵PSD画像」作成
 4.「3」をトレース▶︎「ベース・ベクター画像」作成
 5.「4」を取り込み用に編集▶︎「取り込み用ベクター画像」作成

Chapter 5 実際に作ってみる・後編
 6.Glyphs Miniの設定をする▶︎フォント編集・下準備
 7.Glyphs Miniに「5」を取り込む▶︎フォント編集・前半
 8.スペーシングとカーニングをする▶︎フォント編集・後半
 9.フォントファイルを書き出す▶︎フォントの完成

Column 「文字迷Q」
(1)「グリフ」と「グリフ」の間
(2)「emスクエア」は、活字の深淵に

資料

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。
フォントを作るには下絵やアイデアスケッチは必要です。中には、頭の中に明確なイメージを描くことができて、下絵ナシでデザイン作業を始めてしまうベテランの方、下絵ナシの方が作業がしやすいという方もおられます。
とはいえ、慣れないうちは無理をしない方が良いでしょう。とりあえず、下絵を作成しスキャニング→Adobe Illustratorでトレースをしていく手法で、デザインするのがベターだと思います。
このサイトでは、Adobe IllustratorでトレースしたベクターデータをAI形式で保存し、フォント作成ソフトに取り込んで(それはGlyphsでもFontographerでも)、フォントデータを作る方法を説明してきました。デザインを決めて下絵を作成する方法も説明しましたが、下絵の様式は一つではありません。今回は、ちょっと悩みどころかもしれない、フォントの下絵についてのお話です。

 

フォントのデザインイメージと下絵

フォントの下絵の作り方は、「フォントの作り方(3)」「フォントの作り方(15)」で説明しました。
しかし、もしかすると、下絵を作成する段階で戸惑いが生じてしまってる方もおられるかもしれませんね。どのような手法で下絵を作るのかというのは悩みどころではあります。私の場合ですが、下描きした下絵とデザインしたいイメージとに乖離がある感じがして、どうにもしっくり来ない時があり、ちょっと悩んだことがあります。

 

フォントのイメージの様式に合わせた下描きの手法

いろいろ考え試行錯誤しましたが、フォントのイメージの方向性に合わせて下描きの手法を変えた方が良いようです。私の場合ではありますが、その方がイメージとに乖離が少なくなりました。
フォントの元になる文字を作成し、一式の様式となるタイプフェイス(書体)にするためには、文字の共通パーツとなるエレメントを組み合わせていくことになります。スタンダードなフォントの多くは、そのようなタイプフェイスによるデザインです。
一方で、エレメントの組み合わせに頼らない、手書き感を活かした「書き文字」というフォントのジャンルもあります。現在では「書き文字」ばかりを集めたフォントの書籍があったりするぐらいで、こちらも現在流通するフォントとしてはかなり種類があると言えそうです。上のエレメントを組み合わせてデザインするタイプフェイスが緻密であれば、こちらはストロークによる「味」を生かしていて直感的であると言えるでしょう。なお、「書き文字」についての歴史は古く古代に遡ることができますが、そのお話は、またの機会にしますね。

現在流通しているフォントのイメージの方向性を大別すると、
1. エレメントの組み合わせでデザインされた「緻密タイプ」
2. 手書き感を活かした書き文字等の「直感的タイプ」
この2つのタイプがあります。これら2つの様式に合わせ、下描きの手法を変えた方がイメージ通りになる場合もあるようです。

 

「緻密タイプ」は下描き用紙を使う

以前に紹介してますが、「緻密タイプ」は、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で描いて下絵を作成→それをスキャンしてトレースする、この手法でだいたいはカバーできるかと思います。
ちなみに、その際に用いる下描き用紙はこちら。DLして自由にお使いいただけます(なお、この下描き用紙をそのまま販売することは禁止します。念のため。)。

下描き用紙はこんな方眼紙です。

こんな感じで下描きをしていました。

 

「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

手書き感を生かした「直感的タイプ」のフォントですが、碁盤の目がある下描き用紙に鉛筆等で下描きをしてしまうと、どうにも整いすぎるというか、手書きの勢いや「味」が失われる場合があります。そんな場合は、下描き用紙を使う必要ありません。もっとラフに描くなど、落描き的に好きな紙に描いた文字を、そのままスキャンしてAdobe IllustratorのAIドキュメントにレイアウトしてトレースしていただいた方が、描いた線が生き生きしたタイプフェイスに仕上がります。

こちらは、ネタ帳に描いたラフ画をそのまま下絵にしています(私がデザインしたフォント「マカロ」の下絵です)。



こちらは、画用紙に描いたペン画を下絵にしています(私がデザインしたフォント「ほおずき」の下絵です)。

 

私の場合ですが…

私の場合、という前提はありますが、下描きの手法を変えることでイメージしたフォントにより近づけることができる、ということは言えそうです。
もし、下描きのことで悩んでる方がおられましたら、一度試してみても損はないと思いますよ!

 

まとめ

  • フォントのデザインの様式に合わせて下描きの手法を変えるとイメージに近くなる(個人差アリとは思います)
  • エレメントの組み合わせでデザインする「緻密タイプ」は下描き用紙を使う
  • 書き文字等の手書き感を活かした「直感的タイプ」は下描き用紙を使わない

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。
Adobe IllustratorのバージョンCS6以降を使用されている方の中で、カラー指定の時の特色PANTONEのことで、悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
特色PANTONE「Solid Coated」の再現色の印象が、変わっちゃったと感じる方もいらっしゃるようです。「くすみが出るようになったね」などという声もチラホラ。
カラーレーザープリンタでプリントアウトすると、同じナンバーの特色でも、CS6以降とそれ以前とでは確かに色味に差が出る色がありますよね。
商品や実際の刷り上がり印刷物では、もちろん指定したナンバーの特色になります。でも、クライアントに見せるラフ画やカンプをレーザープリンタでプリントアウトした状態で見せる時だってあります。そんな時は実際のインキの色は再現色になってしまうので、ちょっと困ってしまいますね。

 

イラレでPANTONE「Solid Coated」のカラー指定をする時って?

Adobe IllustratorでPANTONE「Solid Coated」のカラー指定をする時とは、つまりこういう時です。
オブジェクトのカラーは特色を指定することができるわけですが、「スウォッチライブラリ」の「カラーブック」からPANTONE「Solid Coated」のウィンドウを表示して色指定する時のことです。
「メニューバー」→「ウィンドウ」→「スウォッチライブラリ」→「カラーブック」から、「Pantone+ Solid Coated」を選ぶと「Pantone+ Solid Coated」のウィンドウが出てきます。オブジェクトにPANTONE「Solid Coated」のカラーを指定する時には、このウィンドウに並ぶ色のマスの中から指定したい色を選ぶことになります。

「Pantone+ Solid Coated」のウィンドウから色を選択します

 

PANTONE「Solid Coated」の再現色の色味がくすむようになった

CS5までのバージョンとCS6以降でのPANTONE「Solid Coated」再現色の印象を比べて、「全体的にくすむようになった」「濁りが出るようになった」という声は、私自身、デザイナーの方から聞くことがあります。私も同じ印象を共有しています。
その要因は、CS6以降のスポットカラーについての仕様の変化によるものです。
特色PANTONE色(Illustratorでは、CMYK4色掛け合わせではなく1色のインキ単独で出来ている特色は「スポットカラー」と表されますが)は近似色で再現されますが、「Lab値」の再現色は「CMYK値」の再現色より濁った色味となっているにもかかわらず、
①スポットカラーを使用する際のデフォルトの設定が、「CMYK値を使用」に替わり「Lab値を使用」になった。
②CS6以降に標準となった「Pantone+(Pantone Plus、パントンプラス)」のスポットカラーは、「Lab値」による定義が前提になった。
こうした仕様の変化が、PANTONE「Solid Coated」再現色の色味に変化をもたらし、ひいては彩度の変化をももたらしています。

 

「Pantone+ Solid Coated」をスウォッチに追加すると「Lab値」で定義されることになる

「Pantone+ Solid Coated」は、表示した「カラーブック」のウィンドウから色を選択する時点でスウォッチに登録されます。その際、自動的に「Lab値」で定義されることになります。これは、Adobeのサイトでも詳しい説明がされています。

https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/kb/pantone-plus.html

「Pantone Plus Series® のスポットカラーは、「Lab値」を使用します。Pantone Plus Series® のスポットカラーにCMYK定義はありません。したがって、Pantone Plus スポットカラーをドキュメントスウォッチに追加するには、「Lab値」を使用してスポットカラーを定義します。」

…との説明がありますが、
要するに、「Pantone Plus Series® 」は「Pantone+」の10個のバリエーションのことで、この中のスポットカラーはスウォッチに登録される際には「Lab」値によって定義され、「CMYK値」による定義はされない仕様になったということです。
なので、CS6以降は「カラー」ウィンドウの、「Lab値」を示すアイコンは、設定を変えてみようとも「CMYK値」アイコンにならないというわけです。「Pantone+ Solid Coated」を使おうとするなら、「Lab値」から逃れられない。そんなわけです。

「Lab値」を示すアイコン

「Pantone+ Solid Coated」のくすみ、気になりませんか? カラーブックに特色の旧「Pantone Solid Coated」を追加する方法はあります。ただ、ちょっと注意が必要ですが……。

そのお話は次回に!

 

まとめ

  • CS6以降のPANTONE「Solid Coated」の再現色は「Lab値を使用」がデフォルト
  • CS6以降のPANTONEのスポットカラーは、「Lab値」による定義が前提になった
  • PANTONEのスポットカラーの「Lab値」再現色は、「CMYK値」の再現色より全体的にくすんだ色味

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。「字詰め」は、グラフィックデザインにおいて重要な要素であるとお話してきました。単純化した形が三角形になる文字の周りは、アキが出やすいので要チェックということでしたね。
適切な字詰めのためにはコツが要るわけですが、その辺りについて、もう少し詳しくお話しておきます。

 

「適切な字詰め」とは?

前回に少し触れましたが、「適切な字詰め」とは、文字部分を全体的に見て、文字間のアキのバランスが整っている文字の配置です。アキが、どこかの部分だけ詰まって見えたり、逆に間が空いて見えたりしないよう、バランスが良い状態にまで調整して適度な間(ま)をとります。そのためには、文字を単純化して◯、△、□として捉えて調整してみようということでしたね。
「適切な字詰め」を覚えてしまえば、今度はあえてタイトル周りだけはキツキツに詰めてみたり逆にゆるゆるにしてみたり、そして本文は、通常の詰めにしておいたり、レイアウト全体で字詰にメリハリを効かせたタイポグラフィができるようになります。
ただ、その文字間のアキの「バランスが整った状態」がいまいち判らない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。でも心配はありません。日頃から「バランスが整った状態」の文字のレイアウトを見るようにしていれば、自然に判るようになります。

 

「バランスが整った字詰め」の参考資料

ロゴタイプやタイトル部分の字詰めについては、日常的に目に入るものは気にして見るようにしておきましょう。本屋さんに行って、本や雑誌に載っているロゴタイプやタイトル部分をチェックしてみるという手もありますね。ネットで探しても良いでしょう。
それから、以前もお話した基本の基本です。自分の足で歩くこと。ナイスな字詰めを求めて、リーフレットやフリーペーパーを収集したり写真をとったりしに、お出かけしてみましょう。
とにかく、いいな! と思ったロゴタイプは覚えておきましょう。ネタ帳にメモしておいて、後で眺めてみると、気がつくことがあったりするものですよ。
一方、本文の部分については、インターネットが始まってからの問題もちょっと抱えてます。ネットの記事の本文は、90年代末頃に比べると、随分きれいな字詰めが実現するようになりました。でも、私はぬるさを感じています。私ぐらいの世代は電算写植の文字を見て育ってしまったので、そうならざるを得ないのです。Webデザインにおける本文は、手動での詰めがない、プログラムだけの判断による字詰めとなります。職人の手による電算写植のきめ細やかさにはかなわないという部分があります。今や、ネット記事の本文は日頃から最も目にする本文となってるかもしれませんが、もっと美しい字詰めの本文があることは覚えておいた方が良いと思います。
電算写植は版下に使われました。デザイナーなどが版下を作る時に写植業者さんに発注し、文字部分だけを印画紙に打ってもらっていました。写植業者さんは文字を打つのを専門にする職人さんなので、字詰めも見事でした。1990年代半ばぐらいまでの雑誌やリーフレットには、本文も含めて文字部分が写植のものがありました。
古本屋さんなどからあの頃の美しい字詰めの文字の雑誌などを収集し、とりあえず美しい字詰めを覚えておきましょう。

 

漢字は仮名文字より大きい傾向で詰まって見えやすい

「適切な字詰め」、あとは見て覚えましょう。と言おうかとも思いましたが、ちょっと基本のところだけコツをお話しておきますね。
書体にもよりますが、漢字は仮名文字より大きい傾向で詰まって見えやすいです。なので、漢字が集まっている部分は少しアキを広くする、あるいは、仮名文字部分のアキを狭くする。そんな調整をするとバランスが良く見えます。

 

仮名文字の小文字の周りはアキが出やすい

ひらがな、カタカナといった、仮名文字の小文字の周りはアキが出やすいです。特に、小文字が2つ連続する時はアキが出やすいので要チェックです。

 

「す」+句読点

句読点の周りはアキが出やすいです。「す」の後に句点がある時(要するに「〜す。」)など、書体によっては気になるアキが出ます。句点を「す」に寄せた方がバランスが良く見えます。同様のことは、「う」「り」「ト」等があてはまります。この辺も要チェックですね。

 
字詰めしてみました

 

まとめ

  • 漢字は仮名文字より大きい傾向で詰まって見えやすい
  • 仮名文字の小文字の周りはアキが出やすい
  • 「す」「う」「り」「ト」等の後の句読点も要チェック

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。
グラフィックデザインにおいて、「字詰め」ができているものとそうでないものの見え方は、ずいぶん異なります。「字詰め」とは何かーーーこれは「文字詰め」とも言いますがーーーグラフィックの文字部分の文字と文字の間のアキを調整することを指します。GlyphsやFontographer等のフォント作成ソフトを使用したフォントデザインでも、カーニングやスペーシングの作業に関わってきます。「字詰め」は、グラフィックデザイン全般における重要な要素なので、基本はおさえておきましょう。

 

「字詰め」はデザインの重要要素

上に述べたとおりですが、文字と文字の間のアキを調整することを「字詰め」と言います。文字と文字の間のアキを調整し、バランス良く見えるようにするということです。どこかの部分だけ、詰まって見えたり、逆に間が空いて見えたりしないように文字を移動して調整します。
「字詰め」はていねいに「文字詰め」と言ったりもします。私の周りの同業の人々では「字詰め」と言っている方が多いような気がします。
「字詰め」は、グラフィックデザイン全般において重要な要素です。なぜなら、多くのグラフィックデザインの要素には文字が含まれるからです。文字に関わるデザインは、フォントやロゴのみならず、パッケージの商品名部分、エディトリアルではタイトルや見出しそして本文部分と、多岐に渡って見出すことができます。
このように、グラフィックデザインのあらゆる部分に文字が関わっているわけですが、「字詰め」をしっかり行うことでデザインがどんどん洗練されたものになります。

 

文字と文字のアキのバランスは、どのように調整する?

「文字と文字の間のアキが均等にバランス良く見えるよう、調整をする」という一言ですが、実はこの作業は奥が深いです。文字と文字の間のアキについて調度良く見えるバランスというのは、各個人によって異なります。また、デザイナーによっても好みが分かれる部分のようにも見受けられます。ヤング層はキツキツの「字詰め」を好む一方で、中高年齢層は詰めが緩いスカスカした「字詰め」を好む、という説もリアリティを持っています。「字詰め」のキツい・緩いには絶対的な解はありません。とはいえ、キツい・緩い、どちらの方向性が好みであっても、バランスの良い「字詰め」には基本的には共通項があります。まずは、そういった部分を知っておきましょう。そうしておけば、デザインの現場ではそれほど迷うことはないと思いますよ。

 

文字を○△□としてとらえる

文字を文字と思うからこそ戸惑ってしまうのかもしれませ。文字も要するに図形です。図形と図形の間のアキが、全体的な配列から見て均等になっていればバランス良く見えます。
文字をぼ〜っと見て見ましょう。ものの形は単純化すると○(丸)、△(三角)、□(四角)のどれかに還元されます。これらを調整して並べてアキに偏りが出ないようにすれば良いわけです。アキをキツくするにしろ緩くするにしろ、偏りがなければ全体として均等なアキに見えます。とにかくアキに偏りが出ないようにしましょう。

文字を単純化してこんな感じで調整します

 

△の周りはアキが出やすい

単純化すると三角になる文字の周りはアキが出やすいのでチェックポイントです。具体的には、「A」や「V」、「T」などが該当します。ロゴでも本文でも、他の文字に比べて「A」や「V」の周りのアキが目につく時があると思います。「気になるなあ」と思う時はアキを詰めてしまいましょう。全体に馴染み、気にならなくなればOKです。

 

長方形の周りもアキが出やすい

単純化すると縦長の四角形=長方形になる文字の周りもアキが出やすいのでチェックポイントです。具体的には、横組みのひらがな「り」などが該当します。こちらもアキが気になる場合は、詰めてバランスをとりましょう。
ただし、横組みの数字の「1」や「I」は、詰めすぎると他の文字に同化して見えるので注意が必要です。同化してしまうことにより、可読性が失われてしまうことにもなりかねません。周りの文字の詰まり具合に比べ、ちょっと空き気味でも大丈夫です。

 

まとめ

  • 文字と文字の間のアキを調整することを「字詰め」と言う
  • 文字を○△□としてとらえると「字詰め」が行いやすい
  • △や長方形の周りはアキが出やすい

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。今日は、入稿データ作成時のチェックポイントについてのお話の続きです。
前回は、入稿データを作成する際には、ネットプリントの業者さんの情報をWebサイトでチェックしておけば、新技術から取り残されることもありませんよ、というようなお話をしました。
今日は、その続きで、では、入稿データ作成時に、具体的にどういったポイントをチェックするべきか、というお話をしようと思います。

 

5つのチェックポイント

入稿データ作成時のチェックポイントは、細かく挙げれば、色々と出てきてしまいます。確かにそうなのですが、まずそれより先に、こればかりは外せないというチェックポイントがあります。

そのチェックポイントとは
・使用ソフト
・使用ソフトのバージョン
・仕上がりサイズ
・色指定
・レイアウトデータのリンク画像

これらの5点です。
これらのチェックポイントは、DTP黎明期から現在に至るまで変わりませんね。
ちょっと説明しておきますよ。

 
[使用ソフト] 
これは、これから入稿データするというデータを、どの種類のデザインソフトを使って作成したのか、ということです。
入稿先の印刷業者さんが持っているソフトでなければ、そこでデータが開くのは困難か不可能か、ということになります。なので、印刷業者さんが持っているデザインソフトで入稿データを作成します。ほとんどの場合、印刷業者さんが入稿に対応可能なデザインソフトを指定しています。デザインソフトであれば主に、AdobeIllustrator、AdobePhotoshop、AdobeInDesign、といったところでしょう。他には、Quark Xpressといったところでしょうか。

 
[使用ソフトのバージョン]
古すぎるバージョンだと、印刷業者さんがもう対応していないということがあります。逆に新しすぎてもNGという場合もあります。この辺についても、印刷業者さんは対応可能なバージョンを指定しています。
Adobeのソフトなら、今であればさすがにクラシック環境に対応したバージョン、例えばAdobeIllustratorならバージョン8.0に対応している業者さんは珍しいでしょう。今の主流は、だいたいCSかCCかというところです。
バージョンによってソフトのスペックは異なるので、できることできないことが変わってくるということがあります。対応していないバージョンでの入稿はエラーなどトラブルの元になるので、印刷業者さんが対応できるバージョンを選び、入稿の際はそのバージョンを印刷業者さんにしっかりとお伝えしましょう。

 
[仕上がりサイズ]
「仕上がりサイズ」は、紙ものの印刷物であれば、「裁ち落としサイズ」と考えて良いです。入稿データには、サイズについて、A4ならA4、具体的に「W297×H210(mm)」と記しておくこともあります(ちなみにこの場合は横位置ですね)。
ネットプリントの業者さんのWebサイトにはだいたいテンプレートがあり、サイズの記述までされています。テンプレートを利用せず入稿データを作成する際は、サイズをしっかり記述しておきましょう。

 
[色指定]
印刷に用いるインクの色の指定です。「印刷」といったら、インクです。色指定は必須ですね。DTP黎明期どころか、DTPが始まる以前から今に至るまで、それは変わりません。
オフセット印刷で4版用いてカラーにするなら、入稿データには、カラーについて、「オフセットCMYK」などと記しておきます。ブラックで単色刷りにするなら「Black」、特色が入るなら「Pantone - 000 c」などと、色の番号を表記します。色玉も一緒につけておきましょう。
ネットプリントの業者さんのテンプレートなら、デフォルトで色指定が表記されている場合もあります。

 
[レイアウトデータのリンク画像]
レイアウトをAdobeIllustratorで行うとしましょう。デザインによっては、このレイアウトに写真を配置する例もあります。
この写真は、「配置画像」として扱われ、データの保存形式は(今時なら)「psd」で、カラーは「CMYK」の状態のはずです。なお、配置画像は「張り込みデータ」などと呼ばれることもあります。
こうした「配置画像」を「リンク」の設定にするなら、リンク元となっている画像も一緒に入稿することになります。入稿時には、印刷業者さんが混乱しないよう、リンク画像がどれか、「◯◯◯.psd」と「×××.psd」と(がリンク画像です。)といった具合に、こちらも伝えておきましょう。必ずしも、それを求めない業者さんもありますが、入稿時に「備考欄」か何かに記入しておいた方が無難といえましょう。

 
私の(中の人の)名刺の入稿データ。ネットプリント業者さんのテンプレートを利用しています。デザインはオリジナルで行いましたが、トンボや注意書きがあらかじめ記述されている部分はそのまま「イキ」に。

 

まとめ

データ入稿時のチェックポイントは…

  • 使用ソフト
  • 使用ソフトのバージョン
  • 仕上がりサイズ
  • 色指定
  • レイアウトデータのリンク画像

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。前回はDTPが主流の今日の、デジタルの入稿データを用いた印刷物作成のプロセスについて解説しました。今日はそうしたプロセスの中でも、入稿データ作成時のチェックポイントについてお話したいと思います。
印刷物をデザインするとして、印刷技術が日進月歩と言われてしまってはうっかりすると取り残されてしまいそうで、ちょっと不安になるかもしれません。ですが、心配無用です。定期的に、ネットプリントの業者さんのWebサイトを見て、データ入稿のチェックポイントをしっかり把握するようにしてさえいれば、大丈夫です。デザインソフトのバージョンや、印刷技術が上がることで、入稿データの作り方の細かい部分が変化することは、もちろんあります。でも、そうした印刷業者さんのWebサイトでは、時代の新しい変化に対応して、データ入稿のチェックポイントの説明ページをアップデートしています。まずは慌てずに読んでみましょう。

 

印刷技術は確かに日進月歩だけれども

デザイン業界の人々向けの展示会では、新しい印刷技術を目にする機会があります。「こんな印刷ができるようになったんだ!」などと驚嘆することもしばしばです。
私が、近年目まぐるしく発展したと思うのはインクジェット式の印刷技術です。10年あまりのうちに、色、とりわけ黒っぽいトーンは発色が良くなりましたし、かなり細かい線の再現ができるようになってきたなあという感想もあります。インクジェット式は新しい印刷技術として発展し、布物などのグッズの生産の際に用いられる印刷技術として定番化してきました。
そして、現代の印刷技術として基盤の一つとなっているオフセット印刷は、デジタル化とその発展にともなって、入稿の方法が変化し続けました。
新しい技術、そして変化。ついて行けるか不安になるかもしれませんが、そこはあまり慌てないことが肝心です。
プロもセミプロも学生さんも利用するようなネットプリント業者さんでは、大概そのWebサイトで、入稿データ作成上の注意を公開していますし、デザインスペースとトンボが記されたテンプレートを用意しています。時折、こういった情報を注意深くチェックして自分の知識をアップロードしていれば、新しい技術に追いつけなくなるなど、そうそう起こらないと思います。

 

ネットプリントのWebサイトをチェックしてみましょう

ネットプリントはインターネット経由でデータを送信し、入稿することができる印刷の手法です。業者さんの多くは、刷り上がった印刷物を、指定する場所に配達するサービスも行っています。
日本のネットプリントの業者さんには、「グラフィック」や、「WAVE」があります。プロも利用している印刷業者さんです。オフセット印刷に対応していて、印刷紙の種類も色々あり、多様な表現が楽しめます。そこまでの表現を求めずオフセット印刷でなくても良いというならば、コンビニエンスストアでもネットプリントを行っているので、こちらのサービスを利用すれば良いと思います。ただ、今回は、オフセット印刷に対応した入稿データの作り方に焦点を絞りたいので、「グラフィック」や「WAVE」のようなタイプの業者さんを例に考えてみたいと思います。
「グラフィック」さんでもそうですが、ネットプリントのWebサイトには、入稿データの作り方の解説ページがあります。印刷機器においてもデザインソフトにおいても、最新の技術は、導入当初はエラーが発生したり、不具合が生じる場合もあり、安定的に使用できるかどうかの研究や試験運用が必要になります。こうした解説ページに記載されている情報は、それをクリアした最新技術を含めた情報となります。
そして、そのような最新技術の反対に、古くともここまでの技術には対応している、といった情報も掲載しています。なので、古くとも新しくとも、この辺りまでの技術を覚えておけば大丈夫だという目安になるというわけです。一方、古い技術の中で対応していないものがあるならば、今や古すぎる技術なのだ、という認識も必要だということです。

「テクニカルガイド」のページが、ちゃんと設けられていますね。

画像出典:「グラフィック」のWebサイト(https://www.graphic.jp)

 

古い技術といっても

ただ、「古い」あるいは「古くからある」技術とはいっても、だから価値がないということでもありませんので、少し補足しておきます。
昔の文庫本等、今でも古本屋さんで手にすることはできますが、昔の本には活版による印刷をしばしば見かけます。本文を触ってみると凸凹しますね。これは活版印刷の特徴です。それでも、活版の印刷物は見かけることが減ったと思いますが、だからといって価値がないということではありません。古くからある技術ですが、オフセット印刷で表現できない味があったり風情があったりするものです。活躍の場は減ったとしても、まだまだ現役の技術です。
あえて古い技術を用いることでデザインの幅が広がることはある、ということは念頭に置きつつ、最新の技術も知っておけば、さらに色々な表現ができるというものです。

次回は、入稿データ作成時のチェックポイントについて、さらに具体的に解説したいと思います。

 

まとめ

  • 最新技術に対応した入稿データの作り方はネットプリントでチェックできる
  • ネットプリントのような印刷業者さんが対応できない古い技術は「古すぎる」
  • 活版印刷などは、古い技術でも価値がないということではなく、風情や味を醸し出す現役の技術とも言える

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。前回に引き続き、今回も着せ替えタンブラーの台紙の作り方について解説したいと思います。
前回は、PDFになっている台紙のテンプレートをダウンロードし、AIファイルで保存するというところまで進みました。デザインテンプレートの準備はできたので、今日はそのテンプレートを利用してデザインを進めることにします。下の写真の、私がデザインしたクリエイトユアタンブラーの台紙の柄を例に、解説します。

 

クリエイトユアタンブラー

 

着せ替えタンブラー台紙の作り方

 

[1. テンプレートのAIファイルを開く]

ダウンロードしたPDFファイル、ファイル名は「tumbler500.pdf」ですが、前回はこのファイルをAdobeIllustratorで開いてAIファイルとして別名保存しましたね。今、あなたのPCには、「tumbler500.ai」というファイルがあるはずです。まず、このファイルをAdobeIllustratorで開いてみましょう。
 

PT500mlテンプレート「tumbler500.ai」

 

PT500mlテンプレート「tumbler500.ai」のレイヤー

 

テンプレートはレイヤーに分かれていますね。ブックマーカーやブックカバーの時のお話で出て来た「design space」に該当する部分はどれだと思いますか? このレイヤーの中では「本体」が該当します。なので、解りやすいように「本体」を「design space」に書き換えて、作業をしても良いと思います。
他のレイヤーについても説明しておきますね。上のレイヤーから。「ロゴ」は空レイヤーなので削除してもOKです。「指示事項」は左上のテキストによる説明部分です。「刷り範囲」はグレーで示された部分。左上の説明にもありますが、タンブラーにセットすると図案が隠れる部分です。なので、デザインで重要な部分、例えばロゴマークなど、図案が途切れてしまってはいけないパーツは、このグレーの部分に配置しないように気をつけなければなりません。そうした注意の目印としてこのレイヤーがあるわけですが、目印レイヤーなので、作業の最後に削除してしまいます。

 
[2. レイヤー「design」を作り図案を配置する]

「刷り範囲」の下にレイヤー「design」を作ります。ブックマーカーやブックカバーのデザインの時と同じで、このレイヤーに図案を配置します。
図案ができていれば、あとは簡単です。このレイヤー「design」に、図案をバランスよく配置します。
今回のようなタンブラー台紙のデザインは、場合によっては、図案を扇形に湾曲させることもありますが、今回の例のような散らし柄(総柄)は、その必要はありません。見た目に不自然でなければ、図案の湾曲の必要はないということです。

 
[3. 塗り足しをつける]

塗り足しをつけます。塗り足しをつけて、印刷に用いるデータは完成となります。
レイヤー「本体」の点線がありますが、これが裁ち落とし線になります。なので、このラインから3mm外側のラインまでが、塗り足し部分(ドブ)となります。
裁ち落とし線から3mm外側に、塗り足しラインを描きます。レイヤー「本体」の点線を選択したままで、メニューバー「オブジェクト」→「パス」→「パスのオフセット」を選択します。「パスのオフセット」のダイアログボックスで「オフセット」の数値を3mmにします。すると、裁ち落とし線の外側3mmにラインが描けます。この塗り足しラインを、レイヤー「design」の同一の位置にカット&ペーストします。復習しますね。このような、同一の位置へのカット&ペーストは「コマンド+C」の次は「コマンド+B」でしたね。

塗り足しラインが描けたら、このラインまで図案を満たします。後はレイヤー「刷り範囲」を消せば、データは完成です。なお「本体」レイヤーの点線ですが、後の紙を裁断する作業がしやすいように、消さないで残しておいてください。

試しに、私がデザインしたスターバックスのクリエイトユアタンブラーの台紙の柄を、このテンプレートに配置してみますね。下のようになりました。
 

PT500mlテンプレートに配置した状態

 
[4. データを紙に印刷する]

完成した図案を紙に印刷します。ところで、どういった種類の紙に印刷しましょうか? いつもの普通紙でもぜんぜんかまいません。でも、ちょっと発色を気にして、いつもと違う紙に印刷するのも面白いです。くっきりとした鮮やかな彩度を再現するなら、写真用専用紙が良いでしょう。ブックマークのお話の時、パンダ柄の印刷に用いたのがEPSONの写真専用紙でしたね。そうでなく、鮮やかさよりも風合いを求めるなら、画用紙が良いでしょう。なお、私がデザインしたスターバックスのクリタンの台紙には、ケナフという自然な風合いの非木材紙を用いてます。ただし、この紙は廃盤になってしまいました。気に入っていたんですけどね・・・。ともかく、印刷する紙はどんな発色を求めるかで決めれば良いと思います。

 
[5. cutlineを目印に裁ち落とす]

紙に印刷したら、裁ち落としラインに添って裁ち落とします。裁ち落としラインは、今回のテンプレートでは、レイヤー「本体」にある点線部分でしたね。ハサミでも良いですけど、私はカッターでキュキュッとカットしてしまいます。慣れると曲線部分もスイスイ切れますよ。紙をカットしたら、台紙は出来あがりです。

 
[6. タンブラーにセットして出来あがり]

タンブラーに台紙を差し込んでセッティングすれば出来あがりです。それぞれのメーカーの着せ替えタンブラーで、台紙の差し込み方法が異なるので、適宜やってみてください。なお、私のクリタンは、下のフタを開けて差し込むタイプです。

さて、オリジナルデザインのタンブラーができました! たくさん使ってあげてくださいね。

 

まとめ

  • タンブラーもレイヤー「design」を作りここに図案を落とし込む
  • 台紙に用いる紙は発色で決める。画用紙や写真専用紙を使っても良い
  • 曲線部分の裁断は、慣れればカッターでもさほど難しくはない

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
紙を使ったオリジナルグッズデザインのお話をしてきましたが、ブックマーカーに続き前回は、ブックカバーの作り方のお話をしました。今回は着せ替えタンブラーの台紙の作り方です。
ブックマーカーやブックカバーを作れるのなら、タンブラーの台紙はそれほど難しくはないことでしょう。AdobeIllustratorでデザインするとして、ブックマーカーもブックカバーも、最終的な形状である裁ち落としライン(Cutline)が解りそこに落とし込む図案があれば、同様の手順でデザインができましたが、タンブラーの台紙もその例に漏れません。

 

着せ替えタンブラーを購入しよう

「紙の基本(4)」でも触れましたが、スターバックスの「マイスターバックスタンブラー」、「クリエイトユアタンブラー」など、台紙が着せ替えできる仕様になっているタンブラーが市販されています。この種のタンブラーは「カスタムタンブラー」などとも呼ばれていますね。
写真は現在販売中止となっている型ですが、私が愛用しているスターバックスの「クリエイトユアタンブラー」です。

クリエイトユアタンブラー

着せ替え式のタンブラーには台紙を差し込める隙間があります。そこに、紙に印刷したオリジナルデザインの台紙を入れて、楽しむこともできるというわけです。
着せ替え式のタンブラーは、スターバックスばかりでなく複数のメーカーが販売していますが、このように台紙を入れる隙間がある仕様になっています。
台紙の厳密な形状はメーカーにより異なりますが、この形状に合わせてデザインを落とし込めばいいということについては、どのメーカーにおいても変わりありません。なので、とりあえず、いずれかのメーカーの着せ替えタンブラーを購入し手に入れてしまいましょう。台紙の形状が把握できれば、あとは、ブックマーカーやブックカバーのような作業になります。

 

メーカー別、着せ替え式タンブラーいろいろ

複数のメーカーが着せ替え式タンブラーを販売していますが、ご参考までにいくつかピックアップしました(※ご使用ご購入は自己責任で)。

●クリエイトユアタンブラー(スターバックス)
現在、販売中止となっている型のクリエイトユアタンブラーは、シンプルでどんなデザインにも合わせやすかったので、おススメしておきます。
スタバのWebサイトにはまだ、この販売中止となっている型のクリエイトユアタンブラーの情報が掲載されていますね。
・スターバックスWebサイト

●カスタムデザインタンブラー(トレードワークス)
こちらもシンプルなので、いろいろなデザインに合わせやすそうです。
楽天の通販サイトでも購入できます。グッドデザイン賞を取っている商品とのことで、使いやすそうです。
・雑貨ネットONLINE

その他、ダイソーにも着せ替えタンブラーが売っているようですので、ご興味があれば店頭でご確認してみても良いと思います。

 

テンプレートをダウンロードする

ここからは、トレードワークスのカスタムデザインタンブラーを題材に、お話したいと思います。(スタバの以前の型のクリエイトユアタンブラーは、販売中止となっているとのことですし。。。)
トレードワークスのカスタムデザインタンブラーには、台紙デザイン用のテンプレートがあります。トレードワークス推奨のサイトなので、安心して使っていただけます。まずは、このテンプレートをダウンロードしましょう。今回はとりあえず、高さ17.8cmのものでデザインしてみますね。

こちらから、ダウンロードできます。
・CUSTOM DESIGN

テンプレートはJPGとPDFがあります。今回はPDFを選択します。

デザインテンプレートのサイト。PDFを選択します。

 

PDFのテンプレートをAIで別名保存する

PDFのテンプレートをダウンロードできましたか? ファイル名は「tumbler500.pdf」です。念のためちょっと説明しておきますね。ダウンロードサイトで「PDFをダウンロード」のボタンを押していただくと、ブラウザにテンプレートの図案が現れると思います。そのまま「別名で保存」をしてしまってください。これでPDFファイルがあなたのPCにダウンロードできているはずです。
そこまでできたら、今度はそのPDFファイルをIllustratorで開き、AIファイルとして保存し直します。PDFファイルは、後から編集できないようにIllustrator等で開けない設定にすることもできますが、今回のPDFファイルはテンプレートとして配布されているので、ちゃんと開くことができます。
メニューバー「ファイル」→「開く」から「tumbler500.pdf」を開きます。ファイルを開いたら、そのまま「別名で保存」し、ファイル形式から「Adobe Illustrator(ai)」を選択してください。次のダイアログでバージョンの選択がありますが、これはあなたがお使いのIllustratorのバージョンに合わせましょう。
このように、ダウンロードしたPDFファイルをAIファイルで保存し直せば、テンプレートの準備は整ったことになります。あとは、図案の落とし込みです。このお話は、次回。

 

まとめ

  • 着せ替え式のタンブラーのおススメは、
    スターバックスの「クリエイトユアタンブラー」(以前の型)
    トレードワークスの「カスタムデザインタンブラー」
  • 「カスタムデザインタンブラー」はデザイン用テンプレートを配布している
  • PDFファイルはAdobeIllusutratorで開くことができる

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBES です。
紙を使ったオリジナルグッズをデザインしてみようということで、作った模様をアイテムに落とし込んでみるところまでお話が進みました。前回は、ブックマーカーのお話をしましたが、今日は引き続きブックカバーへの模様の落とし込み作業についてお話したいと思います。

 

ブックカバーを作ってみよう

今回は、文庫本向けサイズのブックカバーを作ってみることにします。A4サイズに模様を印刷すればできてしまうので、作りやすいと思います。
今回はトンボはつけません。何かの入稿データにするなら別ですが、家庭用プリンタでちょっと楽しむというなら、そこまでしなくとも充分です。

下が完成した状態の写真です。模様は、例として前々回に作り方を解説したストライプ柄です。紙に印刷して、文庫本に包んでみました。

ストライプ柄のブックカバー

今回は、こんな感じのブックカバーを作ってみたいと思います。

 

ブックカバーの作り方

 
[1. デザインスペースを描く]

上に説明したように、今回は、A4サイズを出来あがりサイズとします。位置は横位置で、A4サイズの内側、下の図のような範囲をデザインスペースとして模様を印刷します。

印刷部分

 
A4サイズのアートボード中央に、281×194mmの長方形を0.25ptのアウトラインでデザインスペースを描きます。レイヤー名に「design space」と記しておきます。
プリンタには印刷可能範囲があり、多くは紙のサイズよりやや内側の範囲に印刷できるしくみとなっています。印刷した時に、紙の縁に空白の部分ができるということですが、今回は気にしなくても大丈夫です。今回のブックカバーのサイズを考える場合、A4サイズから8mm程度内側まで模様が印刷されていれば充分だからです。なので今回は、A4サイズの中央、281×194mmの範囲をデザインスペースとしました。

 
[2. デザインレイヤーでレイアウトする]

新規レイヤーを追加し、名前を「design」とします。このレイヤーで、デザイン・レイアウトを行います。なお、レイヤーの順番は、「design space」の下にしてください。そうすれば、最初に描いたデザインスペースであることを示す長方形が、作業をする際に目印になります。

 
[3. デザイン・レイアウトしたオブジェクトにマスクをかける]

デザイン・レイアウトができたら、デザインをデザインスペース内に収めるため、デザインスペースの長方形でマスクをかけます。
まず、デザイン・レイアウトしたオブジェクトをグループ化します。グループ化は「コマンド+G」です。それから、レイヤー「design space」のデザインスペースの長方形をコピーし、レイヤー「design」のアートボードの同一の位置にペーストします。ブックマーカーのお話にも出てきましたが、同一の位置へのペーストは、「コマンド+B」で行います。ペーストした長方形は、グループ化したオブジェクトの前面に持って来ます。ツールバー「オブジェクト」→「重ね順」→「最前面へ」で、長方形が前面に、オブジェクトが背面になります(もちろんコマンドを使ってもOKです!)。長方形とオブジェクトを選択し、「コマンド+M」でマスクをかけます。
これで、デザイン・レイアウトはできあがりです。

 
[4. レイヤー「design space」を非表示にする]

作業中に目印にしたデザインスペースを示す長方形は必要なくなりました。なので、非表示にしてしまいます。
これで印刷するデータは完成です。

出来あがったブックカバーのデータ

 
[5. 紙に印刷する]

データをA4の紙に印刷しましょう。本を包みやすくできるように、今回はあまり腰がある紙じゃなく薄口の紙の方がベターです。
実際に本に取り付けた状態の写真のストライプ柄は、ちょっと自然な風合いがある紙に印刷して作りました。紙の種類はアラベールで、地色はやや水色がかったものです。普通のストライプでも、いつもの普通紙以外の風合いがある紙に印刷すれば、オシャレ感がグッと増しますよ。
紙に印刷ができたら、ブックカバーの完成です。あとは本に巻くだけです。

 
[6. 印刷したブックカバーを本に取りつける]

印刷したブックカバーを本に取り付けます。ポピュラーな方法で、やってみます。
図のように進めます。折る時は、本の大きさより1〜2mm大きく余裕を持って折ります。ジャストサイズで折ると、ぱっつんぱっつんでキツくなりますので。最初はうまく包めなかったとしても、回数を重ねるうちに、上手くいくようになると思います。

ブックカバーの取り付け図

簡単ですね! 季節に合わせて、気分に合わせて、いろいろなデザインのブックカバーに着せ替えても楽しいですよ。
次回は、タンブラーの台紙の作り方のお話です。

 

まとめ

  • 「design space」「design」のレイヤーを作りテンプレートとする
  • 今回のようなブックカバーなら、トンボは必要ない
  • シンプルな模様でも、印刷する紙の種類によってイメージが変わる

ではまた!