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こんにちは。ANGEL VIBES です。フォントデザインの基本がギュッとつまったツールとして、私はGlyphs Miniを推します。そんなお話は既にしていますね。Glyphs Miniは、他のソフトに共通する機能を備えているので、これからフォントデザインをはじめようという方にはオススメですよと、お伝えして来ました。何より、フォント作成ソフトとしては安価ですしね。そうした点からもオススメというわけです。
でも、そろそろGlyphsを使ってみたいという方もいらっしゃるでしょう。今日はそういった方に向けたお話です。

 

Glyphs Miniとは?

少しおさらいしておきますね。Glyphs Miniとは、一言で言うと、Glyphsの廉価版のフォント作成ソフトです。Glyphsの機能を簡略化した製品ではありますが、AdobeIllustratorで作成したAIデータを取り入れてフォントデータを作成することができる仕様は共通しています。ちなみにFontographerも、この仕様は共通です。
Glyphs MiniはGlyphsの廉価版ながら、1バイトのローマ字フォントを作成するには充分な機能を備えています。私の経験的には、アイコンやイラストフォントなら、機能が少ないGlyphs Miniの方がかえって使いやすいという印象です。でも、機能が少ない分、GlyphsにできてGlyphs Miniにできないことがあったりします。なので、状況に合わせて、Glyphsを優先して使用することもあります。

 

GlyphsとGlyphs Miniの違い

上に述べたように、Glyphs Miniの方がGlyphsよりも機能が少ないです。なので、仕様が違う点があります。グリフを追加するツール部分と「フォント情報」の部分は、大きな仕様の違いがあるので見てみましょう。

 
[グリフを追加するツール部分]

Glyphsの「左メニュー」→「文字体系」→「和文」の部分

 

Glyphs Miniの「メニューバー」→「ウィンドウ」→「グリフ情報」の部分

 
見比べて解るように、左メニューが見た目にも違いますね。和文のグリフの追加は、Glyphs Miniでは、「メニューバー」→「ウィンドウ」→「グリフ情報」から選択して行う仕様ですが、Glyphsでは「左メニュー」→「文字体系」→「和文」から、追加することも可能です。漢字については、「常用漢字」「JIS第1水準」「JIS第2水準」と区分けがされていて(三角の所をクリックして開くと項目が出て来ます)、そこからまとめてグリフを追加することができます。「かな」についても同じように区分けがされているので、そこからまとめて追加が可能です。その点、Glyphs Miniにはそういった和文の区分けはなく、「グリフ情報」で、unicode順に並んだグリフから選択し追加しなければなりません。
「常用漢字」のグリフを追加したい時に作業をしやすいのは、グループ分けしているGlyphsの方でしょう。和文のグリフの追加は、Glyphsの方がスムースそうですね。

 
[「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分]

Glyphsの「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分

 

Glyphs Miniの「メニューバー」→「ファイル」→「フォント情報」の部分

 
見た目でもわかりますが、「フォント情報」は、Glyphsに比べGlyphs Miniの方が記入事項が少ないですね。Glyphs Miniが、「info」に記入事項があるだけなのに対し、
Glyphsは「フォント」、「マスター」、「インスタンス」…、と続き、すべてのメニュー項目に記入事項があります。
それだけ、Glyphsの方が細かい設定が必要ということですが、ここに和文を縦書きにできる設定が含まれています。この設定、Glyphs Miniにはありません。

 

Glyphsの利点

GlyphsとGlyphs Miniですが、見た目も使い方も、両者は確かに似ているし共通項もあります。でもGlyphs Miniは廉価版というだけあって、機能が簡略化されている部分があります。なので、GlyphsにできてGlyphs Miniにできないことが当然出てきます。GlyphsにはGlyphs Miniにはない利点があるということです。

簡潔に言うと、
・Glyphsの方が和文フォントのグリフの追加がしやすい
・Glyphsは縦書きができる和文フォントが作成できる

もちろん、細かい点ではもっとGlyphsの利点があげられると思いますが、まずはそこだけでも覚えておきましょう。

 

まとめ

  • Glyphs MiniはGlyphsの廉価版で、Glyphsの機能を簡略化した製品
  • Glyphsの方が和文フォントのグリフの追加がしやすい
  • Glyphsは縦書きができる和文フォントを作成できる

では、また!

こんにちは。ANGEL VIBESです。ところで、Fontographerの日本語版が欲しいという方もいらっしゃいますよね? でも、既にお話しているとおり、Fontographerの日本語版は販売終了しており、日本語版の製造は現在は行われておりません。ただし、英語版はFontLab社の公式サイトから購入できます。
英語版なら購入可能、とはいえ、日本でも人気があったフォント作成ソフトが何でこんなことに? という方もいらっしゃるかと思うので、ちょっとだけ経緯をお話しておきましょう。

 

Fontographerのメーカーや販売企業の変遷

Fontographerは今はなきAltsys社で開発されたソフトです。Altsys社といえば、かつてクリエイター向けのソフトをいろいろと開発した企業で、FreeHandの開発もAltsys社。FreeHand、今の若手デザイナーだと知らないかな? まあ、知らなくてもおかしくないです。FreeHandはDTPの黎明期の頃には、AdobeIllustratorと肩を並べたドロー系のソフトだったのですよ。
このAltsys社は1995年にMacromedia社に買収され、そしてMacromedia社は2005年にアドビシステムズに買収されました。Macromedia社といえば、今でもユーザーが多いAdobeDreamweaverは、もともとはMacromedia社からリリースされたソフトです。Flashも今やAdobeのソフトですが、これももともとはMacromedia社からリリースされたソフトです。
Macromedia社がアドビシステムズに買収された同じく2005年、FontLab社はMacromedia社からFontographerについての一部のライセンスを獲得しました。そして現在では、FontLab社がFontographerのライセンスを完全に獲得するにいたり、Fontographerの開発も販売もFontLab社が行っております。

私が持っている「Fontographer 4.1J」。クラシック環境でしか動きません。
クレジットがまだMacromedia社です。

※登録ユーザの部分はシリアルなどが入るので画像処理をして消しました

懐かしのクラシック環境の画面。

 

そして日本の販売代理店の変遷

Fontographerを巡っては、上に述べたようなメーカーや販売企業の変遷という背景がありました。こうした中で、日本語版は日本の企業が日本国内向けのFontographerの販売代理店となりました。これにも変遷がありました。
Macromedia社が買収されてから、恒陽社がFontLab社の代理店となって販売をしていたものの(「恒陽社、フォント作成ソフト『Fontographer』の国内販売を開始」/2006年6月26日 ASCII.jp)、それも「Fontographer 5J for Mac OS X」発売時には加賀電子株式会社が国内販売代理店となっています(「加賀電子、フォント作成ソフトウェアの最新版「Fontographer 5J for Mac OS X」」/2011年11月22日 MdN Design Interactive)。そしてその後数年で、加賀電子でも販売を終了することになりました。

私がFontographerを初めて購入したのはバージョン4.1の時でしたが、「Fontographer 4.1J」を購入したのは、恒陽社のネットショップ、確か「KG ダイレクト」というショップだったと記憶しております。なので、バージョン5を購入する際、販売元が「加賀電子」になっていて、いつの間に? と思いました。それから、Fontographerの公式サイトから日本語ページが消えたのも発見し、どうしたのだろう・・・など思っていたら、日本語版の販売自体がいつしか終了していました。

こちらは私が所有する「Fontographer 5 J」。バージョン4.1を持っていたので、アップグレード版を購入しました。

 

やはり、少し寂しい・・・

以上が、Fontographerを巡ってのおよそのアウトラインです。日本語版が販売終了してしまったのは、正直なところ寂しいです。でも、メーカー・販売元の変遷につぐ変遷があり、その中で日本語版の開発を保持し、代理店と契約して販売するというのは、なかなか大変なことなのかなあというのが、私の感想です。
とはいえ、念のため言っておきますよ。今後、バージョンアップされた状態で日本語版をリリースするというなら、私は買いますよ☆

・・・とか何とかお話してきたFontographerですが、FontLab社で元気に生きているようですね。

 

まとめ

Fontographerにはメーカーや販売企業の変遷という複雑な背景がある。
今のところ、日本語版は販売終了している。