こんにちは。ANGEL VIBES です。
デザインに接していれば、印刷を通して紙に接する機会が多かれ少なかれあると思います。PCで作成したラフ案をプリントアウトするとか、あるいは、データ入稿してフライヤーなどの印刷物を作るのだとか。
そんな、印刷メディアとしての「紙」ですが、種類によって、仕上がりのイメージは全然異なります。そこで今日は、状況に応じた紙の選択を考えてみたいと思います。仕上がりがグッと変わって来ますよ。
紙によってインキの発色は異なる
印刷する紙について、まず頭に入れておきたいことがあります。それは、紙によってインクの発色が異なるということです。
家庭用のインクジェットプリンタを使った時でも、紙によって発色が全然違うなあ、なんて経験をした方もおられるかもしれませんね。そうなんです。印刷紙には種類があります。インクジェットプリンタ対応の紙の中にも普通紙と写真専用紙がありますが、発色は全く違います。
同じデータでも、写真専用紙なら彩度が高く鮮やかに印刷されやすいですが、普通紙では、写真専用紙よりも彩度が保たれにくく鮮やかさが損なわれ、くすんでしまったりします。
印刷物の発色は、インキだけでなく紙からも影響を受けるわけです。それは、上に述べたようなインクジェットによる印刷ばかりでなく、オフセット印刷についても言えることです。
オフセット印刷の印刷時の発色を追求した紙は各種開発されており、こういった紙はデザイン業界ではポピュラーであったりもします。カタログなど写真の再現性にこだわるデザインなら、なるべくなら発色が良い紙を選びたいところです。発色がよければメリハリが出て再現性が高くなるからです。
ともあれ、印刷と紙は関係が深いわけですね。
迷ったらとりあえず「コート紙」
紙の中には印刷専用の紙というのがあります。中でも「コート紙」は発色が良くポピュラーで、オフセット印刷の定番の紙と言えるでしょう。写真の再現性に優れる一方で価格が安めなので、デザイナー大助かりの紙です。
フライヤーやポストカードの印刷で、印刷紙の種類がいろいろあって何を選んだら良いか解らない! という方は、とりあえず「コート紙」から始めてみても良いと思います。
コート紙は表面がツルツルしたタイプです。コート紙系のツルツルタイプは、紙の中でも発色が良い系統です。
コート紙にも表面のツルツルが抑え目のマットタイプの「マットコート」という種類もあります。好きずきではありますが、ツルツルした紙に抵抗があれば、マットの方を選んでも良いでしょう。
カサカサしたタイプの紙の風合い
一般に「画用紙」と呼ぶような、表面がカサカサしたタイプの紙は、コート紙のようなツルツルタイプの紙よりも落ち着いた傾向があります。印刷のメリハリ・再現性はコート紙には及ばない部分がありますが、カサカサタイプは「風合」や「温かみ」といった点ではコート紙に勝ると思います。風合いを重視するなら、カサカサタイプの紙をおススメします。
色鉛筆や水彩で描いたイラストをポストカードにするなら、カサカサタイプの紙を利用すれば、いかにも手で描いたような温かい印象があるものになりますよ。そういった印刷も素敵です。
画用紙のような風合いを求めるなら、「アラベール」あたりがおススメです。カサカサ系の紙にも色々な種類がありますが、ゴワゴワせず使いやすいです。もし迷ったら、「アラベール」あたりから始めてみても良いと思います。
こだわらないなら無難に「上質紙」
「発色」とか「風合い」とかを活かすデザインも良いですが、とにかくしっかり印刷さえ出来ればということなら、「上質紙」あたりが無難だと思います。化学パルプ100%で作られた紙で、表面にコーティングはありません。ツヤツヤではなくカサカサタイプです。世の中で最も多く見かける紙の1つではないでしょうか? 「よくある紙」という言い方ができるかもしれませんが、ボールペンやサインペンで筆記した時に乾きやすいなど、幅広いシーンで使用できる紙です。
印刷紙の現物サンプル
印刷紙は、写真やインターネット上の画像ではその質感まで伝わらない部分があります。表面のきめ細かなコーティングは写真では伝わりづらいですし、触った感じは、現物でなければ正直なところ実感できないです。印刷紙にこだわるなら、現物のサンプルは見た方が良いと思います。
印刷業者さんの窓口に、通常はサンプル紙が置いてあります(無い場所もあるので、各店によります)ので、印刷の前に見て検討することもできます。
大きな画材屋さんなら紙コーナーにサンプル紙や見本帳を置いている場合もあります。そうした紙の中には、印刷紙としても使用されているものもあります。新宿の世界堂や銀座の伊東屋にもサンプルがあるので、こんな紙があるんだなあという感じで、ついでの機会にでも眺めておくと良いですよ。
まとめ
・発色が良い紙ならとりあえず「コート紙」
・画用紙のような風合いを求めるなら「アラベール」
・こだわらないなら無難に「上質紙」
ではまた!